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腹痛STOMACH

症状 TROUBLE

腹痛とは、腹部の痛みを訴える症状のことです。腹痛を訴えて医療機関を受診される方は、消化器系の悩みや病気を抱えていることが多いです。お腹の中には多くの臓器があるため、実際に腹痛を感じる範囲は、上腹部中央(みぞおち)辺りから下腹部までと幅広くなります。痛みの感じ方や痛む場所により、さまざまな原因が考えられます。

痛みの現れ方によって、腹痛は急性腹痛や慢性腹痛、反復性腹痛などに分けられます。急性腹痛(急性腹症ともいいます)とは「急激に起こる激しい腹痛」です。痛みの原因によっては緊急手術が必要になるほど、重症度が高いこともあります。

一方、3か月以上持続する腹痛は「慢性腹痛」と呼ばれます。弱い痛みでもずっと続いていれば慢性腹痛で、一時的に痛みが治まっても繰り返し腹痛がみられるときは反復性腹痛といいます。慢性腹痛は5歳以上の小児にみられることが多く、未就学児から中学生くらいまでの10~15%にみられるといわれています(特に小学校の中学年から高学年が多い)。成人はおよそ2%に慢性腹痛がみられ、女性の方が多い傾向があります。

危険性

同じ腹痛でも、突然始まった我慢できないほどの激しい腹痛や、今までに経験したことのないような腹痛、不安感をあおるような腹痛、振動で響くような腹痛は、自宅で様子をみるのではなく、すみやかに医療機関での診察を受けましょう。このような腹痛の場合、発熱や下痢、吐き気、嘔吐などの消化器症状、吐血や下血、腹部の張り(膨満感)、黄疸など、痛み以外の症状(こうした症状を「随伴症状」といいます)もみられることがあります。

特に腹痛が急に起こってからすぐに激痛となる場合や、腹痛が起こってから便やガスが出ない場合、痛みで眠れないような場合は、重症である可能性が高くなり、緊急手術が必要なこともあります。このほか、38度以上の発熱やたちくらみ、血便や黒色便、血尿などの症状がみられる場合や、ここ半年間で体重が大幅に減ったり、便が細くなったりした場合には、入院による検査や治療が必要なこともありますので、早めに医療機関を受診しましょう。

原因 CAUSE

腹痛が起こる原因として最も多いのは、消化器の病気です。この場合、腹痛の起こり方(急に起こるかどうか)、腹痛の部位や痛み方(激痛、刺すような痛み、しくしくする痛みなど)、そのほかに何かしらの随伴症状があるかなどの情報から、ある程度は原因となる病気を推定することができます。例えば、突然の強い腹痛ならば、消化管の穿孔(消化管に穴が開くこと)なども考えられます。また、同じ「消化管の潰瘍による腹痛」でも、食事時間と腹痛が起こる時間との関係から、胃潰瘍と十二指腸潰瘍では腹痛の現れ方に違いがあります。

他にも感染性腸炎、虫垂炎(盲腸)、下痢や便秘、胆石発作なども腹痛の原因となります。腹部を幾つかのゾーンに分けて原因を推定していきますので、腹部全体が痛いのか、限られた場所が痛いのかなども、しっかりと医師へ伝えましょう。

関連症状(腹痛に関係する病気)

腹痛に関連する消化器の病気としては次のようなものが考えられます。

  • 虫垂炎

    さまざな原因で、虫垂に炎症が起こる病気です。心窩部の痛みから始まり、痛みの部位がだんだんと移動していくという特徴があります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

  • 感染性腸炎

    腸管にウイルスや細菌が感染することで起こります。多くの場合、下腹部やおへその周りの腹痛があります。下痢や嘔吐、発熱などの症状もみられることがあります。

  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍

    胃や十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍ができている状態です。心窩部(みぞおち)から脇腹にかけて痛みが出ることが多く、食事時間との関連があります。

  • 過敏性腸症候群

    腹部全体の痛みと下痢・便秘を3か月以上繰り返す病気です。腸の機能異常が原因とみられており、排便で腹痛が軽減します。ストレスにより、症状が悪化することがあります。

  • 腸閉塞

    腸管が詰まって内容物が通過できなくなり、吐き気や嘔吐、お腹の張りがみられます。鋭い痛みが続く場合と、おへその周辺の強い痛みが時々起こる場合があります。過去にお腹の手術を受けた方は腸閉塞になりやすい、という傾向があります。

診断方法 METHOD

腹痛の診断には、丁寧な問診や触診などを行った上で、必要に応じて次のような検査を行います。

  1. 血液検査

    貧血や炎症の有無やその程度、腹痛の原因となりえる肝臓や腎臓などの状態を調べるために行います。

  2. エコー検査
    (超音波検査)

    腹痛の原因となりえる急性の胆嚢炎や虫垂炎などのほか、腹部大動脈瘤破裂や腸閉塞など、多くの病気を発見するために行います。放射線を使わない検査ですので、被ばくの心配はありません。

  3. レントゲン

    消化管の穿孔(穴が空くこと)や、消化管の異物、腸閉塞などが疑われる場合に行います。放射線被ばくがありますので、妊婦や妊娠の可能性がある方は、受けることができません。

  4. 胃カメラ

    上部消化管(食道から胃、十二指腸まで)を直接観察することができる検査です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍のほか、胃がん、食道がん、逆流性食道炎などが疑われるときにも行う検査です。

  5. 大腸カメラ

    下部消化管(大腸から肛門まで)を直接観察することができる検査です。感染性の腸炎や、腸閉塞、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患や大腸がんなどが疑われるときに行います。

受診促進

腹痛の原因はさまざまです。胃や腸などの病気によって腹痛は起こることが多いですが、中にはその他の重大な病気のサインのこともあります。「いつもの腹痛とは違うかも」と感じ、少しでも心配な痛みや随伴症状がある場合は、放置せずに早めに受診しましょう。

より詳しい検査や高度な治療が必要な場合、女性特有の疾患が疑われる場合などは、速やかに提携医療機関や専門医への紹介をおこなっています。

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