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過敏性腸症候群IRRITABLE BOWEL SYNDROME

このような症状で
お困りですか? TROUBLE

次のような症状が続く方は、ご相談ください。

  • 下痢や便秘が長く続く
  • 下痢と便秘の症状が
    数日おきに入れ替わる
  • 腹痛や腹部の不快感があるが排便をすれば腹痛は軽快する

こうした症状も数日であれば問題ありませんが、数か月以上続いているという場合は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。命にかかわる病気ではありませんが、日常生活の上での不快感を伴います。また全身症状として、頭痛、めまい、疲労感、不安感などがみられることもあります。

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とはirritable bowel syndromeの頭文字をとって「IBS」とも呼ばれています。大腸には炎症など病変がないにもかかわらず、先ほどご紹介した症状が長期的に続くものを言います。腸の収縮運動は脳からの指令によって行われており、腸に炎症が起きたなどの異常があった場合には、腸からも「異常があることを脳に伝える機能」があります。

過敏性腸症候群の方は、腸から脳に向かう信号が強く、いわゆる知覚過敏の状態であることが特徴です。そのため、普通の人ならば感じない、少しの刺激や炎症、粘膜が弱った状態だけでも察知し、腹痛などの症状につながってしまうと考えられています。

原因

過敏性腸症候群の原因はわかっていませんが、過敏性腸症候群は細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった後になりやすいことが知られています。ほかにもストレス、不安、抑うつ、恐怖などの感情的要素や食事、下剤などの薬、ホルモン、ささいな刺激がきっかけになって過敏性腸症候群となるといわれています。さらに高脂肪食やカロリーの高い食べ物を食べた後に過敏性腸症候群となる例もあります。

過敏性腸症候群は10歳代~20歳代で発症する方が多く、症状が治まった後にまた出現するというサイクルを繰り返しながら、長期的に継続していくことが多いです。割合としては女性の方が多く、年齢が上がるにつれて患者さんの数は減っていきます。過敏性腸症候群の予備軍ともいわれる方は、6人に1人程度 はいるであろうと考えられています。

過敏性腸症候群の診断

過敏性腸症候群の診断には、国際的に用いられている「ローマⅢ基準」を用います。次のような項目にあてはまるかを、最初に確認します。

  • 最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
  • 下記の2項目以上の特徴を示す
    1. 排便によって症状がやわらぐ
    2. 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
    3. 症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

これらに当てはまっている方は、過敏性腸症候群の可能性が高くなります。

過敏性腸症候群は、腸には見た目上の変化が見られません。つまり、血液検査や便検査を行うこともありますが、炎症などの変化が無いためこれらの結果もすべて異常なしとなることがあります。

しかし、血便や発熱、体重減少、異常な身体所見などの明らかに異常な症状がある場合や、50歳以上の方、過去に大腸の病気にかかったという方、家族に大腸の病気にかかった方がいるという方に対しては、他の病気にかかっていないかを確認するために、大腸内視鏡検査や大腸造影検査を行います。

症状によっては、腹部超音波検査、腹部CT検査などが追加されることもあります。これらの診断結果についてすべて異常がみられず、過敏性腸症候群以外の病気の可能性を否定することができて初めて、過敏性腸症候群であるという確定診断ができます。また、過敏性腸症候群の原因としては心理的な要因も考えられますので、必要に応じて心理検査を行って確定診断となることもあります。

過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群の治療は、主に内服薬による治療や、食事を中心とした日常生活の指導を行います。

  • 内服薬による治療

    内服薬による治療では、腸の運動を整える「消化管機能調節薬」や、プロバイオティクスと呼ばれる「腸内に良い効果を与える菌を含んでいる製剤」を使用します。また、下痢症状が辛いという方には下痢止めのお薬、お腹が痛いという場合にはお腹の痛みを止めるお薬、便秘が辛いという場合にはお腹への刺激が少ない下剤や便を柔らかくするためのお薬などを使用します。

  • 食生活の指導

    お薬の内服と並行して食生活の指導など日常生活の指導を行います。刺激物、高脂肪の食べものを避け、暴飲暴食や夜間の食事摂取を止めるなど、健康的な食生活に近付けていきます。

  • 日常生活への指導

    しっかりと睡眠をとり、ストレスをためないような生活スタイルをこころがけていただきます。運動不足の方には定期的な運動の指導も行います。

これらの治療を行っても改善されていないという場合には、その症状に合わせたさらに強いお薬を追加したり、漢方薬を使用したり、アレルギーやうつ症状などがある場合にはそれらの症状を改善できるお薬を使用したりします。過敏性腸症候群の症状にストレスが強くかかわっている可能性がある場合には、心療内科の受診もしていただき、両方の診療科でアプローチをしていきます。

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