胃カメラとは ESOPHAGOGASTRODUODENOSCOPY(EGD)
胃カメラとは、食道から胃、十二指腸までを観察するための内視鏡のことです。人の体には、口からものを食べて、肛門から便として排泄するための器官、消化管があります。消化管は、食道・胃・十二指腸までの上部消化管と、小腸・大腸・肛門までの下部消化管に分かれます。胃カメラはこのうち、上部消化管を観察するために行う検査で使用します。
食道は、細長い管のような形をしており、体のほぼ中央を通って口と胃につながっています。胃の中へ食べ物や水分を送る働きがあり、「するりと落ちていく」ような構造をしています。胃と食道の間には噴門とよばれる部分があり、胃からの逆流を防ぐ働きをしています。食道からつながる胃は袋状の臓器で、食道との接続部である噴門、袋状になった胃体部(いたいぶ)、十二指腸との接続部分である幽門があります。胃からつながる十二指腸は、胃からの食べ物などを空腸(小腸)へと送り出す働きがあります。指を横に12本並べたくらいの長さであることからこう呼ばれていますが、実際には(成人の場合)25㎝くらいあり、肝臓や胆のう、すい臓からの分泌液などが流れ込む細い管がつながっています。
胃カメラは、食道から十二指腸までの消化管を、内側から観察するために行う検査です。胃カメラは口(または鼻)の中から食道、胃、十二指腸へと進み、十二指腸の奥まで観察ができたら、引き抜きながら再び消化管の内部を観察します。必要に応じて複数の写真撮影も行います。胃カメラで胃の中を実際に観察できると、まだ小さく目立った症状が見られないような胃がんでも、早期に発見することが可能です。胃がんを発見した場合、胃がんの広がりや深さが分かるだけではなく、胃カメラで検査をしながら、そのまま小さながんを治療することもあります。
このような症状の方は
胃カメラを受けましょう
次のような症状に心当たりのある方は、はやめに胃カメラの検査を受けましょう。
- 胃(みぞおちあたり)
の痛み - 胃の違和感や不快感
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲の低下
- 黒い便が出た
- 貧血症状(立ちくらみ、疲れやすい、
少しの運動で息切れがするなど) - 食後まもなく、あるいは
食後数時間たってからの
お腹の痛み - 食べものが飲み込みにくい
(つかえる感じがある) - 急に体重が減る
- アルコールをよく飲む
(すぐ赤くなる) - 煙草を吸う
- 検診や人間ドックの
バリウム検査で
異常を
指摘された - ピロリ菌を指摘された
- 過去に胃潰瘍や
十二指腸潰瘍を
指摘されたことがある - 血縁者に胃がんの方がいる
- 40歳以上の方で
胃内視鏡検査を
受けたことがない
眠ってできる
胃カメラ検査
INSPECTION
胃カメラの検査時間は、およそ5~10分程度です。胃や十二指腸の内部をしっかり観察するために、まずは空気を入れて充分に広げながら進みます。こうすることで、内部にある「ひだ」の裏側を含め、すみずみまで見えるようになります。さらに、胃や十二指腸の内部にある粘液などを洗い流すために、水で洗浄しながら検査を行います。
検査中は胃や十二指腸の中が空気や水でふくらむことで、お腹の張りや痛みなどで気分が悪くなる方がいらっしゃいます。また、空気で広げたほうが見やすい箇所と空気を抜いたほうが見やすい箇所があるため、検査中に空気を出し入れする際にも気分が悪くなる方がいらっしゃいます。
過去に検査で気分が悪くなった方など、希望される場合には、「眠った状態」で検査を受けていただくこともできます。胃カメラを行う際、のどの奥に麻酔を行いますが、過去に胃カメラを受けて辛かった方や、胃カメラを挿入するときの「おえっ」という反射が強い方も、「眠った状態」であれば苦痛が少なく検査を受けることができます。
胃カメラは、人によっては辛く感じることもある検査です。しかし、胃がんなどの病気を早期に発見することができる検査でもあります。とくに慢性の胃炎や胃潰瘍を経験された方は、定期的な胃カメラ検査を受け、ご自身の胃の状態を確認しておきましょう。
胃カメラ検査で
わかる病気
DISCOVERY
胃カメラ検査は、次のような病気の発見に役立ちます。
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食道で起こる病気
食道では、食道がん、胃食道逆流症(逆流性食道炎)などが分かります。胃食道逆流症には、食道粘膜に炎症を起こす逆流性食道炎のほか、非びらん性胃食道逆流症食道炎という病気があります。これは、胃酸が逆流することで起こる胸やけや呑酸症状がみられますが、食道の粘膜には炎症がありません。胃食道逆流症のおよそ60~70%の方は、この非びらん性胃食道逆流症を起こしているといわれています。また、食道の粘膜下にできる良性の腫瘍や、肝臓に病気(肝硬変)があるときにできる食道静脈瘤という病気も発見できます。
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胃や十二指腸で
起こる病気胃や十二指腸では、胃がん、胃潰瘍、胃炎、胃ポリープ、十二指腸潰瘍などの病気が分かります。胃がんは、日本人がなりやすいがんの一つです。早期がんの場合には目立った自覚症状がみられないことが多く、進行しても症状が現れないこともあります。胃の不快感などは胃がん以外の病気でもみられる症状であり、胃炎や胃潰瘍の検査などで偶然見つかることもあります。