大腸カメラとは COLONOSCOPY(CS)
大腸カメラとは、大腸の中を観察するための内視鏡のことです。人の体には、口からものを食べて、肛門から便として排泄するための器官である消化管があります。消化管は、食道・胃・十二指腸までの上部消化管と、小腸・大腸・肛門までの下部消化管に分かれます。下部消化管は、小腸から大腸(結腸、直腸)へと続きます。大腸は右下腹部から時計回りに、盲腸から続く上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分かれており、その先は直腸となり、さらに肛門へと続きます。その先は直腸となり、さらに肛門へと続きます。 大腸カメラはこのうち、下部消化管である肛門から大腸までの間を観察するために行う検査で使用します。
大腸カメラによる検査では、カメラの先端を肛門から直腸の中へ挿入し、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸へすすめます。一旦、盲腸まで到達したら、今度はゆっくりと引き抜きながら、大腸の中をしっかりと観察してきます。 この検査によって、体の外からは分からない炎症性の病気やポリープ、大腸がんなどを発見することができます。
早期の大腸がんの場合には目立った自覚症状がみられないことが多いです。がんができた場所によって少し違う症状がみられることや、大腸がん以外の病気でも同じような症状がみられることがあるため、ご自身では気付きにくいがんの一つです。しかし、大腸カメラで大腸の中を実際に観察することで、大腸がんがまだ小さく目立った症状が見られないうちに、早期発見することができます。場合によっては、大腸カメラで検査をしながら、そのまま小さながんを治療することもできます。明らかにがんではなくても、いずれがん化することが予測できるような大きなポリープであれば、がん化予防のために大腸カメラを行いながら切除することもできます。
次のような症状に心当たりのある方は、
早めに大腸カメラの検査を受けましょう
- 血便(便に血が混じる)
- 健康診断で便潜血を
指摘された - 下痢と便秘を繰り返す
- 便が細くなった
- 便が残る感じがある
- おなかが張る
- 腹痛がある
- 貧血(立ちくらみや息切れなど)
- 疲れやすい
- 体重が減って来た、
食欲が減った - 過去に大腸ポリープを
指摘された
ことがある - 血縁者に大腸がんの方がいる
- 40歳以上の方で
大腸内視鏡検査を
受けたことがない
眠ってできる大腸カメラ検査
大腸カメラの検査ではまず、内視鏡の先端を肛門から盲腸まで挿入した後、ゆっくりと引き抜きながら大腸の内部をすみずみまで観察します。このときにかかる時間はおよそ10~20分ほどですが、大腸の形状や長さによって時間が多少前後します。検査中は、大腸の内部をしっかり観察するために、大腸の中に空気を入れて充分に広げます。こうすることで大腸内部にある「ひだ」の裏側まですみずみまで見えるようになります。さらに、大腸内部に泡や汚れ(便)があると観察がしにくくなるため、水で洗浄しながら検査を行います。
検査中は大腸カメラを挿入するために大腸を伸ばすことがあり、また大腸の中が空気でふくらんでしまうため、お腹の張りや痛みなどで気分が悪くなる方がいらっしゃいます。検査中に空気を抜くことで改善していきますが、辛い場合には鎮静剤を使用して「眠った状態」で検査を受けることもできます。たとえば、過去にお腹の手術を受けた方は、大腸の癒着により内部が狭くなっている可能性もあるので、検査の時間が長くなったり、お腹の痛みがみられたりすることがあります。 肛門から内視鏡を挿入しているので、違和感や不快感を抱く場合もあります。こうした場合にも、「眠った状態」であれば苦痛が少なく検査を受けることができます。
また「眠った状態」で検査を受けることで、お腹や肛門に余分な力がかからなくなるため、大腸の中の観察が容易になり、確実性が高くなります。大腸カメラは、人によって辛い経験から検査を受けたくなくなってしまうこともありますが、「眠った状態」での検査であれば苦痛が軽減でき、定期的に検査を受けることに抵抗を感じなくなると思います。定期的に検査を受けることにより、 結果的に、大腸の病気の早期発見、早期治療につなげていくこともできます。
大腸カメラ検査で
わかる病気
DISCOVERY
大腸カメラ検査では、大腸がん、大腸ポリープなどの腫瘍性病変から、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性の病変などを調べることができます。大腸がんや大腸ポリープは、早期発見・早期治療が必要な病気です。
とくに大腸がんについては、ごく早期のうちに適切な治療を行えば、その後の生存率がとても高くなることが分かってきています。また、大腸の炎症性の病気も、早期に発見し適切な治療を行うことが、症状をコントロールするためには重要です。